アンジー、新作『マレフィセント2』を語る。娯楽作に込めた社会問題とは?

 近年、大作からは遠ざかっていたように見えるアンジェリーナ・ジョリー。そんな彼女の主演作としては3年ぶりとなる『マレフィセント2』が、10月18日より公開。前作同様、プロデュースも兼任した彼女に話を聞いた。

ディズニーの人気悪役の物語にアンジーが込めた現実社会の“分断”問題

「この作品のように大作と呼べるものへの出演をこれまで控えていたように見えるかもしれないけど、そうでもないのよ。“大作かそうじゃないか”で仕事を選んでいるわけじゃないから。これは前作でもプロデューサーを務めたし、それが大ヒットを収めたでしょ。しかも、私自身がマレフィセントという役をとても気に入っているから、続編の話が出たときは即決することができたのよ」

今作は、前作のあとの世界が舞台。深い眠りから醒めて、妖精の国を治めるオーロラ姫(エル・ファニング)は、隣国の王子フィリップ(ハリス・ディキンソン)と婚約。妖精の世界と人間の世界を平和に統合しようとしていた。だが、妖精を忌み嫌うフィリップの母(ミシェル・ファイファー)の陰謀により、オーロラのゴッドマザーであるマレフィセントは追い詰められ……。

前作は名作『眠れる森の美女』を別視点で描いたファンタジーだったが、今作は完全なオリジナルストーリー。「今ある社会問題を織り交ぜながら、マレフィセントとオーロラのキャラクターを掘り下げることに成功したと思う」と、アンジーは胸を張る。

「私がこの作品に戻ってきた理由のひとつに、オーロラ役のエル・ファニングと一緒に、あの世界を、あの役を掘り下げたかったことがあるの。ただ楽しいだけの娯楽作品ではなく、今、つくる意味があって、なおかつそれを広く大衆に訴えかけることができる作品づくりが私の使命だからね」

◆娯楽作こそ社会の問題を多くの人に伝えられる

自身のギャラの大半をチャリティに寄付することで知られ、慈善活動のほか、国連難民高等弁務官事務所の特使としての顔も持つ彼女。いわく、「定期的に大作に出演して稼いで、自分が興味のあるプロジェクトを支援している」というのは前作の取材時に聞いたことだが、そのスタンスは今も変わらない。

実写映画への出演は’15年の『白い帽子の女』以来4年ぶりだが、’17年にはアカデミー賞外国語映画賞のカンボジア代表作に選ばれた『最初に父が殺された』で監督も務めている。彼女の長男マドックスの故郷で起きた、ポル・ポト政権による虐殺を生き抜いた少女の物語だ。「社会派の作品を直球で製作するのは大事。だけど、より多くの人に訴えかけられるのは今作のような娯楽作なのよね」とアンジーは語る。

「今作では、マレフィセントがどういう生まれだったかが描かれる。前作でも十分恐ろしい存在だった彼女だけど、ある事件をきっかけにさらにパワーアップした存在になってしまうの。そこで見いだした場所が彼女本来の居場所なのか、そうではなくオーロラのいる国こそが彼女の場所なのか。人間界とそうでない世界の2つの世界の対立のさなか、自分の居場所を巡る葛藤が彼女に芽生えてしまうのね。それはすなわち、今、現実の世界で取りざたされている分断問題にもつながるストーリーだと感じ取ってもらえると思うわ」

調和を求める人、そうでない人。結局、分断というのは人の思想や感情によって起きること。それを超自然的存在である妖精のマレフィセントと、彼女の理解者であるオーロラの目を通して描いているのだ。

そのオーロラを演じたエル・ファニングは「前作での共演時、私は11歳。あれ以降、私にとってアンジーはお手本」と言うが、本作での息の合った芝居に、アンジーも彼女を絶賛している。

「エルはもはやファミリーの一人よ。周りが抱く印象よりもずっとタフだし、クリエーティブな精神を持っていて、今まで出会った人の中で一番ブレのない女性。なのに、いつもクールで何事もなかったかのようにしているのよね。彼女と再共演したことで、それまでには見えなかった、マレフィセントの新しいイメージを得ることができたのも事実よ。こんな人はそうそういないし、彼女のおかげで、よりマレフィセントを好きになったわ」

アンジーお気に入りのマレフィセントは、ディズニー・ヴィラン(悪役)としての人気も根強い。ハロウィンシーズンの公開ということもあって、「みんなでどんどんコスプレして!」と語る。

「子供たちを連れてディズニーランドに行くと、必ずマレフィセントの角のカチューシャをしている人がいるのよ。それも子供だけじゃなくて、大人もね。それを見ると、私とつながっている気がしてすごく嬉しいの。マレフィセントも私も、他の誰とも違う存在だと思ってる。そんなキャラクターを支持してくれるのは、多様な生き方を尊重してくれている証拠だと思うわ」

そんな彼女の次回作は、来年公開予定のマーベルの新作『エターナルズ』。『アベンジャーズ』の流れをくむMCUのフェイズ4に位置する大作だ。「MCUのように、あらゆる人に訴えかけられ、世界にコネクトしているシリーズに出演するのは本当に楽しみなの。期待していて!」

【アンジェリーナ・ジョリー】

’75年、LA生まれ。’99年に『17歳のカルテ』でアカデミー賞助演女優賞を受賞。’00年の『トゥーム・レイダー』のロケでカンボジアを訪れたことを機に人道支援活動を始める。養子を3人迎え、現在は6児の母

<取材・文/よしひろまさみち>

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